アンティークの重鎮が語る「時計との出会い」

有竹さんが満を持して東京・表参道にオープンさせた、アンティーク時計専門店、ダズリング。他では味わうことができない、独特の『ダズリング』スタイルとも言うべきショップ哲学とは?
これぞ『ダズリング』スタイル
インターネットや雑誌を通じてダズリングを知って、初めて腕時計を買いに来られる方も、最近は多いですね。デート中のカップルが来ることもあれば、コレクターの方が来ることもある。層は10代から60代まで、私が日本に帰ると話をしに、お店に来てくれますね。ホントに幅広いです。

時計というのは1930年代までのものを1つ目の区切りとして、次40年代は物資が少なかったので10年間をのぞいて、50年代の手巻き、60年代の自動巻、70年代のカラフルなダイヤル、ジュビリーなステンレスケース、大きな、80年代にはクォーツに入りますから、30年代まで、50年代、60年代、70年代、この4つの段階に分けて、その中でお客さんがまずどういったものを求めているか、やっぱりお客さんも色々勉強していると思うので、それに沿って商品をお見せします。でも気に入っていただけるものが無かった場合、ウチで無理に買うのではなく、辛抱強く色々なお店を回って、自分自身納得のいくものを買って欲しいと思っています。

表参道から少し入ると、ダズリングのエントランスを発見できる

ROLEX 9K GOLD クッションオイスターケース 
ポーセリンダイヤル ファーストモデル 1932年製
\997,500(税込)
なぜかというと、そういう方たちは、時計屋に初めて入るのに、アンティーク時計を買おうと思って、色々考えて来てるのに、お店の方に『これがいいですよ』って勧められたものを買ってしまって、その後『オレの欲しいのは本当はこういうのじゃなかったのに』って思うのはもったいない。それまで、時計を買うためにタバコを我慢したり、お酒を我慢してお金を貯めてる方が結構多いんですね。その夢が一発で消えてしまうわけですよ。だから、『いいですよ』って勧められるままに買ってしまう、っていうのはやめて欲しいですね。中々自分が本当に欲しいものと出会うというのは難しいんですが、まあ、50年代の手巻きなり、70年代のヘビーなモデルなり、ある程度しぼって頂いて、自分の好きなもの、あるいはメーカーもありますけど、ROLEXならROLEX。ロンジンならロンジンで、ある程度決めていただいて、お店に来ていただければと思うんですね。そうすると、納得いくまで時計の良さっていうものを語り伝えることはできますよね。
私はずっとイギリスでやってきてますので、日本では(ダズリングを構えてから)3年ほどになるんですが、日本のお客さんは、本当に時計についてよく知ってる。それこそ知識は豊富。キャリバーだとかムーブメントだとか。でも反面、知識過剰というんでしょうか。中には精度だとか日差だとか現行品の性能と30年代の時計を比較する人もいる。でも、やっぱり30年代の時計というのは機能的に無理なんですね。比較の対象にならない。そういった目線で延々とお話をされるお客さんもいて、こっちもムキになってしまうんですが。私もアンティーク時計に関しては、30年以上の経験に基づいた考えがありますので、そういう場合は、徹底的にお話させていただいてます(笑)でも私は、お店に来ていただいたお客さんに『これはいいですよ』ってお勧めすることは絶対にないですね。
Dazzling - SHIGGY COLLECTION -
 
〒150-0001 渋谷区神宮前4-25-10
TEL:03-3475-6677
営業時間11:00〜19:00
定休日 水曜日
 
 
『ROLEX SCENE 1913~1997』
有竹氏のROLEXコレクションの中から、厳選した400本を掲載。
1913年から1997年までのモデルを広くカバーした、世界屈指のROLEXコレクション本である。それぞれの時計に、細かいコメントがつけられていて、手に入れたエピソードなども興味深い。右の写真は有竹氏にサインを入れていただいたもの。(ワールドフォトプレス発行)
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