緊急指令!初金堂でお宝時計を探せ!

 大阪随一の歓楽街、ミナミ。心斎橋・難波には百貨店やファッションビルが集積し、関西エリアの流行発信源として賑わいをみせる。そこから少しだけ北進すると、問屋街エリア、本町に突入。そんな場所にたたずむビルの一角に、「アンティーク初金堂」がある。

  ……あっ、このお店……!

  アンティーク時計の愛好家であれば、ここを見つけた瞬間、ある種の“嗅覚”が刺激されるのではないだろうか。5坪ほどの、決して広いとはいえない売り場面積。外観は、アンティーク・トイやポスターなどがまず目に飛び込み、可愛らしくレトロなショップという印象。だが、よく目を凝らすと……ショウウィンドウに、おびただしい数のアンティークウォッチが所狭しと陳列されているではないか!
 そして、“嗅覚”を刺激するものの正体が、何か宝物が自分を待ち構えているような、たまらない予感だということに気付くのだ。
さっそく、期待を胸に「初金堂」に潜入。オーナーの初田氏に案内役をお願いした。
  初金堂オーナー 初田 有 −Tamotsu Hatsuta−

1948年京都府生まれ。小学校4年生のときに、祖父に連れて行かれた東寺の縁日でOMEGAのスモールセコンドモデルを手にし、機械式時計の虜になったのだという。以来、ひたすら時計に対する想いを貫く。53歳にして、「人生、何があるかわからん。やりたいことをやらなくては」と悟り、30年務めた自動車会社を早期退職。2003年、悲願のアンティーク時計店「初金堂」を立ち上げるに至った。40年もの間、時計愛好家として蓄積した知識と目利きで厳選した、50〜70年代のアンティークウォッチを主力に展開している。
初金堂ってどんなお店?  
 初田氏に導かれて入店すると、さらに圧巻。四方を時計で埋め尽くされてしまう。その在庫数はなんと800本! 近年、アンティーク時計市場の拡大により、仕入れが難しくなっていると聞くが……。初金堂にとっては、どこ吹く風、のようである。これだけ商品を構成できるのも、初田氏がコレクター時代に構築した人脈力、そして経験とカンの賜物か。

 それにしても、一点ものが少なくないアンティーク。800もの在庫を把握しきれるのだろうか? ……どうやら、心配は無用のようである。初田氏の頭の中には、膨大な量の時計情報のデータベースが格納されているらしい。ひとたび時計の話をすれば、あちこちのショウケースや引き出しから時計を引っ張り出してきて、ディティールまで詳しく語ってくれる。
 

初田氏、こだわりのラインナップとは?

  初金堂で取り扱っているブランドのラインナップは極めて多彩だ。 ROLEXやOMEGA、IWCなど、スイスを代表する時計メーカーは文句なしに充実しているのだが……。実は、脇を固めるマニアックなブランドのラインナップも、相当面白い。

「国産時計メーカーのアンティークにも素晴らしいモデルがたくさんあります。Sセイコー、スーパー、マーベル、キングセイコー……。他にも色々と。例えば、50年代にスイス製を模倣していた頃の国産モデルなんかも、愛おしくてカワイイですよ。明らかに真似ッコやねんけど、一生懸命いい機械を造って技術を磨いたんですね。あとは、誰も知らんようなスイスの無銘メーカー。ピーク時には、スイスには時計メーカーが400社もあったんですよ! 多くは後に統合されましたけど。でもね、機械はしっかりしてるし、顔もかわいいでしょ。」

と初田氏。なるほど、国産や無銘メーカーは価格帯も様々。安価に購入できるものもあるので、アンティーク時計入門モデルとしてもおススメしたい。もちろん、初田氏が厳選し、修理工房でメンテナンスも行っているため、品質が確かなのは言わずもがなである。

 
初金堂いち押し、TUDORの魅力

 
>>>初金堂厳選!15本のアンティーク腕時計はこちら
 初金堂が特に力を入れてお勧めするのはTUDOR(チュードル)である。
 同ブランドがROLEXのブラザーブランドであるのは、周知の通り。しかし、実は1920年代、ROLEXの傘下に入る以前の「OYSTER WATCH COMPANY(オイスター・ウォッチ・カンパニー)時代から「TUDOR」の名前を冠したモデルが存在し、その系譜が受け継がれるブランドだということは、あまり知られていない事実である。

「TUDORは12時位置の紋章が、年代ごとに違います。通称デカバラ、コバラ、盾のマークの中にバラが入ったもの、スペルだけのもの……いっぱいあるんですよ。で、僕のおススメはコバラ。この年代のものは、ムーブメントがROLEXと同じファクトリーで作られていて、共通の部品も結構あるんです。と、いうことはクオリティもROLEXと変わらんということでしょ。 それ以降はETA社だからね」と初田氏。
>>>初金堂厳選!15本のアンティーク腕時計はこちら  

 おや?今回の撮影のために選出してもらった15本の時計の中に、見慣れぬTUDORが。これは……?

 「これは、ROLEXにはなく、TUDORだけに存在するアラームモデルなんですよ。赤い針で時間をセッティングして、時間が来ると……。ほら!」

 本当だ。機械式時計ならではの、ジィーという暖かみのあるアラーム音が響くではないか。
 ROLEXより安価で手に入り、デザインの自由度も高い、アンティークTUDOR。まだまだ面白いものがたくさんありそうだ。

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アンティーク初金堂

 
〒541-0054 大阪市中央区南本町3-6-14 イトウビルB2F
TEL:06-6251-4784
営業時間 平日:11:00〜19:00
土曜:11:00〜14:00
定休日 日曜、祝祭日